たびしタイ

100年以上続く大企業でサラリーしてるけど、旅やゲストハウスや新しいことが好きで変態だよ。

【レポート】知識のない私が、日本に住む難民の方と接して感じたこと。学んだこと。

こんにちは〜タニです。

今日はですね、WELgeeという難民支援団体のサロンに行ってきた時のレポートと、感じたこと・考えたことでございます。

場所は、表参道にある旅と本と珈琲とOmotesando。ここに、難民の方々ふくめ40人くらい集まって、難民問題の現状をまなび意見交換をするという会。

 

f:id:Ytanipooo:20180225110840j:plain

http://omotesando-info.com/webmagazine/

 

もともと学生時代から、難民問題には興味があって、難民支援のインターンに応募してみたり、ボランティアをやっていたりしたんです。けど、そんな深いことまで知れてなかった、もっと知りたい、という思いから今回参加してみました。

 

 

1.WELgeeってどんな団体?

WELgeeのホームページによると、

「自らの境遇に関わりなく、やりたいことが実現できる社会」

をビジョンに2016年から活動をはじめ、日本に希望を求めてやってきた難民・難民申請者を対象に機会創出をしています。

とのこと。事業は

Talk WITH「WELgeeサロン」&「出張授業」

・Live WITH「ホームステイ事業」、「シェアハウス事業」

・Work WITH「キャリアチャンネル(就労支援事業)」

 を展開しているのだそう。

今までずっとWELgeeの名前は聞いたことがあって、今回待望の初参加。普段、日本で生活してると、そもそも難民の人って日本に逃げてくるの?と、問題自体あまり身近に感じられないかもしれない。けどけど、そんなことないんです。

 

2.知ってるようで知らない、難民問題の基礎知識

まずは、日本における難民問題の基礎知識から。

・世界の難民ってどれくらいいるの?

そもそも、世界の難民者数はどれくらいなのでしょか。UNHCRによると、戦争や迫害を逃れ移動を強いられた人々が、2016年末時点で6560万人いるとのことです。6560万人って、どれくらいか想像つきにくいですよね...。例えたら、日本の人口が大体1億2500万人なので、凝縮させると約50%の日本人が今の場所に住めなくなってる、っていう状況。

 じゃあ、そんな難民の人たち、一体どこの国から逃れてくるのでしょうか。

 

f:id:Ytanipooo:20180225205909j:plain

 

赤文字の国、シリア・アフガニスタンソマリア南スーダンスーダンから多くの難民が生まれています。今度は反対に、どこの国の受け入れ者数が多いのでしょうか。 

 

f:id:Ytanipooo:20180225205918j:plain

 

画像参照:難民を知る − 認定NPO法人 難民支援協会 / Japan Association for Refugees

 

アフリカ・中東が難民を多く受け入れていることが見て取れます。つまり、発展途上国で生まれた難民を、発展途上国が多く受け入れている、という現状にあるのです。

 

・そもそも難民とは?

f:id:Ytanipooo:20180225193317j:image

難民は 難民条約により定義されています。

(a)人種、宗教、国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に、迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有すること
(b)国籍国の外にいる者であること
(c)その国籍国の保護を受けることができない、又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まない者であること

 難民の方の中には、知識と行動力があるゆえ政治活動を行い、母国から逃げざるを得なくなってしまった方も多くいらっしゃいます。

 

・日本ではどんな現状があるの?

 さてさて、上記のように定義されている難民の方々。けど、日本で会ったことないよ?!っていう人も多いんじゃないでしょうか。そこで、以下のグラフをご覧下さい。

 

f:id:Ytanipooo:20180225110816j:plain

画像参照:http://www.alterna.co.jp/22751/2

 

このグラフは平成28年までのものなってるのですが、平成29年度における難民申請者数は、なんと19,628人。気になって調べてみたら、ちょうど長野県軽井沢町の人口と同じくらい。そしてその中で難民認定をされた人は、たった20人のみです。

( 国の内訳はこちらから見れます▶法務省:平成29年における難民認定者数等について(速報値))

 

 難民認定されなかった方達は、日本にいながらも、生きる権利を脅かされるような困難がたくさんあります。

就労・住居の制限がかかり、生きるためのお金や場所を見つけられない。国民保険に入れず病院に行けない。在留資格の再申請中にビザがきれ、突然、入国管理局に拘束されるかもしれない。日本で築いた生活が全て崩れるかもしれない。そんな恐怖と隣り合わせで、毎日生活している人たちが、実際に日本にいるんです。

 

3.ドイツの難民支援団体でインターンした方のお話

では、日本以外の国の現状はどうなっているのでしょうか。シリアからの難民を積極的に受け入れているドイツで、難民支援団体のインターンをされていたエリス直美さんが、お話しして下さいました。

 

・ドイツの受け入れ現状

 ドイツはこれまでに、難民を計100万人ほど受け入れており、トルコに続き世界第2位となっています。

なぜ、ドイツはそこまでして難民を受け入れるのか。それは、ドイツの歴史が深く関わっています。第二次世界大戦中、ナチスは大量のユダヤ人を迫害しました。また冷戦下では、東西に分断され、東ドイツから西ドイツへ多くの人々が逃れてきた歴史があります。このような過去の教訓があり、ドイツでは法的にも、人道的責任を負うことが定められているそうです。

 

f:id:Ytanipooo:20180225215751j:plain

参照画像:https://www.ellitoral.com/

 

ただ、難民を受け入れることで、多くの問題も発生しており、各地でデモや、難民による放火事件などが起こました。その結果、ここ最近で大きく議席をのばしたのは、移民受け入れ反対の極右派の政党です。メルケル首相の方針は、果たして正しかったのか、国内でも賛否が分かれています。

 

インターンでしていたこと

 エリスさんのインターン先では、社会的弱者支援として、タバコ工場を改修し難民のための衣・食・住の場を提供していたそう。その中でもエリスさんは、ドイツ語・英語の講師や、施設内の見回り、ときには子どもたちとピアノコンサートまでされていたとのこと。

衝撃的なエピソードも話してくれました。精神の不安定な難民の方が、イスを投げるのを防ぐため、食堂のイスと机が固定式になったこと。ドイツに定住するため語学を懸命に学ぶ難民の方から「この書類読んで」と言われて目を通したら、強制退去の通知書だったこと。

映画の中で見るようなことが、実際に目の前の現実としてあるんだなと、やるせない気持ちになりました。

 

f:id:Ytanipooo:20180225110824j:plain

▲固定された食堂のイスと机
 

・感じたこと

 エリスさんが話していたことの中で、私が一番印象に残ったことは、「この施設では、難民を難民と呼ばず、ゲストや居住者とよぶ」との言葉です。

多くの人が、「難民」=「かわいそう」とか「助けてあげなきゃ」とか「ここでの文化を教えてあげなきゃ」とか、色々な親切心を持っていると思います。ただ、「〜してあげる」って、どうしても上下関係が生まれてしまいますよね。

「難民」の方を「難民」として接するのではなく、別の文化や個性を持った一人の人として接したい。ドイツのエピソードを聞いて、そんな風に思いました。

 

4.アイスブレイク!似顔絵描き

 ここで前半戦の終了。すると突然「ではここで、アイスブレイク〜!」と号令がかかる。おお!いきなり!

ルールは簡単。自分の隣にいる人の顔の似顔絵を、自分の利き手と反対の手で、20秒以内に描く。これが意外と難しくて大盛り上がり。

 f:id:Ytanipooo:20180228230745j:image

かわいくかけた。 

 

5.各メディアの論調を比較しディスカッション

 みんなとちょっと和んだ!と思ったら、即座に次のお題。そしてこれが難題。

「各新聞やネット記事を読んで、新聞ごとの賛成 or 反対を読み取りディスカッションしましょう〜!日本の方は日本の文章、難民の方は英語の文章を読んでください!」

おお…突然の難題。テーマは、増える難民申請者をおさえるため、2018年1月に政府がふみきった、難民認定制度厳格化のはなし。

 

日本経済新聞を読んだ人

難民申請制度を悪用している人を、ちゃんと制限するために厳格化が必要といった、賛同する見解がかかれてるとのこと。

ただ、この記事では、本当にトラブルがある人はどうすべきか、どういう人が日本に来ているかを報じていない、という意見がでました。

 

・ロイターを読んだ人

これは実際に難民の方が読んで意見を言ってくれました。日本は、アメリカの影響を受けているのか、とても厳しいと感じているようです。日本のために働いてるのに、色々なものが高い。こういった現象は、日本だけじゃなくて世界中で起きてることなんだ、という意見。難民の方々は、どんどん暮らしにくい社会・世界になっていると感じているのかもしれない。

 

・読売新聞を読んだ人

これは私たちが読んだのですが、難民申請者は偽装の人ばかりのような書き方をされていました。人道上の課題は最後のごく一部でしか触れられておらず、難民申請数が増えたから厳しくしよう!という一方的な論調。(さすが。)

 

そのほかにも、東京新聞日本経済新聞聖教新聞などなど、いろんな新聞社の論調を比較しました。

 

終わりに、WELgee代表のジェスさんから一言。「新聞にはいかに申請者数を減らすかがメインの論点となっているけど、ほぼ触れられていない大事な点、それは、どうやって真の難民を見分け援助するか。この視点も併せて、ニュースなどを読みとってみてください。」

 

6.感じたこと

まずこのワークを通じて感じたこと。①読売の言葉のチョイス読みにくっ!②人の文章の読み方を知れて、自分に不足してる読解能力がわかった。③信頼関係がない中で、難民の方が逃れるまでに至った壮絶なプライベートな話なんて、聞けない…。④けど、議論してお互いの理解を深めないとより良いものは生まれないよね。

 

こんな事を考えましたが、①に関しては特に声を大にして言いたい。そんな煩わしい表現使って頭いいですアピールするな!!と。(私の読解力不足といった問題は触れないでおきましょう。)

 

最後に、WELgeeから発表が。難民の方いつでもウェルカムなシェアハウスをオープンするとのこと。新しい環境に身をおきたかったわたし、次の住む場所が決まりましたよ。